電脳の中の脳──脳科学・メンタルヘルスの最新研究やデバイス

脳科学やメンタルヘルスの最前線を、研究者・当事者目線からお伝え。生きづらさを解消するためのプロダクトの紹介も。

望む心を手に入れる機械は作れるか? :気分を操るブレイン・マシン・インターフェースの提案

脳・神経系に機械を接続して人間の能力を拡張したり、補償したりするブレイン・マシン・インターフェースは、近年凄まじい勢いで発展しています。 julife.hateblo.jp 現在のブレイン・マシン・インターフェースは、マウス操作や機械の操作といった運動(motor…

うつ病への薬効を予測するAIは、絶望から患者を救えるか

うつ病の一部には、抗うつ剤が効かないことがあります。しかし、効かない薬でも副作用は出てしまうため、ミスマッチな薬の投与は患者さんにとって非常にストレスがかかります。 今回は「顔に対する脳の反応」を機械学習で解析することで、あらかじめ薬がどの…

メンタルヘルスの悪化は、小脳の炎症が原因だった? ☆ラット研究☆

うつ病は近年では「脳の病気」と言われます。うつ病の人の脳は、炎症を起こしたり萎縮していたりと、実際に構造に変化があることがわかっています。しかし、メンタルヘルスと脳の状態の因果関係は、まだまだわかっていないことだらけでした。 今回紹介する研…

睡眠薬は、「死にたい気持ち」も眠らせてくれる?:ランダム化比較試験から

今回紹介するのは、不眠の薬(睡眠薬)が致死念慮を和らげてくれる、というものです。 表現には最大限配慮しますが、現在不安が強い方や気分が落ち込んでいる方は、落ち着いたときに見るようにしてくださいね。

pythonで神経発火モデル(Hodgkin-Huxley Model)を実装してみた

今回は脳科学やメンタルヘルスの研究紹介ではなく、筆者が実際に神経科学の研究用プログラムを回してみたよ……という記事になります。 というのも、縁あって@tak yammさんの『pythonでゼロから作るSpiking Neural Networks』を購入しまして、一通り勉強してみ…

AIの画像診断精度は人間の医師の精度に並んだ

AI(人工知能)分野の隆盛は、脳科学やメンタルヘルスと並び、研究業界でも目覚ましいものです。毎年16000件以上の論文が査読にかけられ、一般のプレスリリースまで含めるともはや数えることができないほどです。 AI技術の応用先は画像認識や音声認識、自動翻…

眼からアルツハイマー病のリスクを知る方法が新たに開発された

アルツハイマー病は、脳に損傷が生じて様々な機能異常が起きる病気です。特に、会話が通じなくなったり記憶が障害したりするため、本人はもとより、ご家族が大変な苦労をされてしまう病気です。 このように一度進行する大変困ったことになるため、脳科学・メ…

不安症状は腸内細菌の調節で軽減できるとした研究結果

不安症状は、さまざまな精神疾患や身体障害に伴って現れ、特にストレスに関連する障害を持つ人に顕著です。3分の1もの人は、障害に何らかの不安症状の影響を受けるといわれています。 今回は、この不安症状が抗不安剤のみならず、腸内細菌の調節によって和ら…

双極性障害とADHDの似ているところ・違うところ

双極性障害とADHDは、「衝動的に動いてしまう」という非常によく似た症状があります。悩みを抱えた患者さん本人や、熟練した医師でさえも、この2つを見極めるのは難しいときがあります。 今回はメンタルヘルスの視点から、双極性障害とADHDのよく似た点、違…

Facebook、神経活動由来の信号でコンピュータ操作を行う「CTRL Labs」を買収

Facebookは9月23日、CTRL Labsを買収したと発表しました。 CTRL Labsは、神経活動に基づいてコンピュータ操作を行う技術を開発する、ニューヨークのベンチャー企業です。着想としては、Neuralink社の技術にも近いものが感じられますが、CTRL Labsの技術は電…

幸福感が強い人は、脳が揺らがない──主観的幸福と安静時脳活動の関係

自分が幸福と思えるかどうかは、脳のゆらぎの少なさと関係しているかもしれません。

一般的な抗うつ剤は、うつではなく不安に効いている

抗うつ剤セルトラリンは、単に「不安」を取り除く、もっと広く使われるべき薬かもしれない。そんな結果が、UCL主導の研究から明らかになりました。

大気汚染が双極性障害を引き起こすかもしれないという調査結果

精神疾患は、個人のもつ要因と環境要因との両方が組み合わさって発症します。 julife.hateblo.jp しかし、環境要因とはなんでしょうか? ストレスや暮らし方、栄養などが議論の俎上に載せられることが多いですが、今回とりあげる大気汚染は、まさに環境の影…

エクササイズの継続には、特定の性格が関わっているという研究結果

日々の健康を考えると、エクササイズは欠かせません。ですが正直、筆者はなかなかエクササイズが続かない方です(増量しているのに)。周囲で運動を続けている人を見ると、「どういう考え方をすると続くのか」と悩まされます。 julife.hateblo.jp さて、実は…

歩き方から認知症を見分けられるという世界初の研究

認知症にはアルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症というように、原因によって複数の種類があります。この種類によって、症状や有効な治療法が異なります。 ニューカッスル大学の研究者らは世界で初めて、アルツハイマー型・レビー小体型の認知症を、歩…

双極性障害患者の家族は脳が大きい?:脳容積と遺伝リスクの関係

精神疾患と脳科学は密接な関係にあります。というのも精神疾患(メンタルヘルス)が一定以上脳の疾患である以上、患者の病態と患者の脳とを比較する作業は、非常に重要だからです。 しかし今回は、患者本人の研究ではありません。双極性障害と統合失調症の人…

社会的に孤立すると脳の成長が遅れる☆マウス実験☆

社会的に孤立していると、(仮に後から社会へ戻れたとしても)脳科学的にみて悪影響かもしれません。 今回はマウスを用いた最新研究を紹介しつつ、社会性や意思決定に、ひいてはメンタルヘルスに関する知見を紹介していきたいと思います。

寝ている間に記憶が定着する仕組み:脳と海馬の間を情報が行き来する

寝ないとものが覚えられない、という仕組みは以前の記事で紹介しました。 しかし実際に寝ている間、脳は何をしているのか? 今回は、より具体的な脳科学の知見を紹介いたします。

GeneLifeの肥満遺伝子検査を試してみた:投薬の体重増加と付き合う

神経疾患の薬は目覚ましい効き目がある一方、副作用があります。 その中でも顕著なのが、体重増加。まったく出ない人もいるようですが、筆者は投薬から半年で15kg増加し、これはなんとかせねばならないと決意しました。 とはいえ投薬をいきなりやめることは…

最新研究を一元化して集める

脳科学や心理学に関する最新情報は、実のところネット上で結構飛び交っています。が、正直なところピンキリが激しく、中には誤解を招く表現が多いのは、前回のプレスリリースの記事で紹介した通りです。 julife.hateblo.jp そこで今回は、筆者が愛用している…

「納豆はうつに効く」のか?:「プレスリリース」の功罪

筆者の所属している脳科学LINEグループで、メンタルヘルスに関わるこんな記事が話題にのぼりました。 www.jiji.com 神戸大学の研究者グループがこのような発見をしたそうです。 うつ抑制分子を特定=予防食品の開発に期待-神戸大など 納豆などの発酵食品に…

こころの振れ幅に向き合う:循環気質と双極性障害

筆者も体験することですが、メンタルヘルスには「こころの波」というものがあります。ブログを書いているときは結構気分が上がっていますし、先日のように台風が来れば気分は大きく沈みます。気分には、山も谷もあるものですが、これは果たして病気なのか、…

こころを治しても、環境を治してもよい:素因ストレスモデルで精神疾患を分解する

精神疾患・心の病とははたして、何が原因の病気なのでしょうか。当事者としても、メンタルヘルスの悪化に対してつい「自分のこころの甘えなんだろうか」と考えてしまい、辛くなることがあります。 しかし心の病というからには、気の持ちようのようにも見えま…

精神疾患の「役立つ」側面:進化を経てなお残る、われわれの心の変容

筆者はよく、精神疾患(メンタルヘルスの悪化)について「骨が折れる」と「心が折れる」の対比を使って説明します。骨が折れたら助けやすいが、心が折れても見えにくい……などの文脈ですね。 ところで、骨が折れるのは単に骨の物質的な限界によるものですが、…

脳波は脳の「同期の波」:眠りや感覚を読み解く信号

脳の機能を測ってみましょう。 そう言われた時、多くの人は「脳波を測るの?」と思うことでしょう。 実際に、脳波とは脳科学・神経科学・心理学において非常によく使われる信号で、脳内の活動を表すよい指標として研究・臨床ともに扱われています。 しかし、…

電脳上の本棚

家に、本が多すぎる。 だいたい15年ほど、この悩みを抱いて生き続けてきました。 特に専門書がひどく、1年に数回しか開かないのに1000ページ前後本棚を陣取っていることも。そういうものは近頃は電子書籍で買うようにしているのでこれ以上悲惨なことにはなら…

脳は寝ている間に思い出す:睡眠中の「オフライン学習」

記憶とは不思議なもので、一夜漬けして勉強しても覚えられないものが、一日眠るだけではっきり思い出せるようになったりします。むしろ寝ないと覚えない、といっても差し支えないくらいです。 こうした睡眠と学習(注:”睡眠学習”ではないですよ)との関係は…

プライバシーポリシー

ゆらゆらと迷う脳:気持ちの迷いは目の迷い? 脳のゆらぎと個人差

ものを決める、という営みは、人間生活の大部分を占める重要な行為です。 しかしこの「意思決定」とは非常に自由で責任ある行いに見えながら、実際のところ結構いい加減に行われている……ということを、脳科学・神経科学の視点から紹介します。 (自由とはな…

IoTは「生きづらい」脳の補完となる:忘れ物防止タグ

数年前から、IoTデバイスをよく使っています。 その先駆けとなったのが、財布の紛失。一回、二回なら普通にあることですが、1ヶ月で立て続けに忘れ、落とし、無くし続けたときに「これは、努力ではなんとかならないのではないか」と思ったものです。 僕のあ…