電脳の中の脳──脳科学・メンタルヘルスの最新研究やデバイス

脳科学やメンタルヘルスの最前線を、研究者・当事者目線からお伝え。生きづらさを解消するためのプロダクトの紹介も。

精神疾患(メンタルヘルス)

望む心を手に入れる機械は作れるか? :気分を操るブレイン・マシン・インターフェースの提案

脳・神経系に機械を接続して人間の能力を拡張したり、補償したりするブレイン・マシン・インターフェースは、近年凄まじい勢いで発展しています。 julife.hateblo.jp 現在のブレイン・マシン・インターフェースは、マウス操作や機械の操作といった運動(motor…

うつ病への薬効を予測するAIは、絶望から患者を救えるか

うつ病の一部には、抗うつ剤が効かないことがあります。しかし、効かない薬でも副作用は出てしまうため、ミスマッチな薬の投与は患者さんにとって非常にストレスがかかります。 今回は「顔に対する脳の反応」を機械学習で解析することで、あらかじめ薬がどの…

睡眠薬は、「死にたい気持ち」も眠らせてくれる?:ランダム化比較試験から

今回紹介するのは、不眠の薬(睡眠薬)が致死念慮を和らげてくれる、というものです。 表現には最大限配慮しますが、現在不安が強い方や気分が落ち込んでいる方は、落ち着いたときに見るようにしてくださいね。

眼からアルツハイマー病のリスクを知る方法が新たに開発された

アルツハイマー病は、脳に損傷が生じて様々な機能異常が起きる病気です。特に、会話が通じなくなったり記憶が障害したりするため、本人はもとより、ご家族が大変な苦労をされてしまう病気です。 このように一度進行する大変困ったことになるため、脳科学・メ…

不安症状は腸内細菌の調節で軽減できるとした研究結果

不安症状は、さまざまな精神疾患や身体障害に伴って現れ、特にストレスに関連する障害を持つ人に顕著です。3分の1もの人は、障害に何らかの不安症状の影響を受けるといわれています。 今回は、この不安症状が抗不安剤のみならず、腸内細菌の調節によって和ら…

双極性障害とADHDの似ているところ・違うところ

双極性障害とADHDは、「衝動的に動いてしまう」という非常によく似た症状があります。悩みを抱えた患者さん本人や、熟練した医師でさえも、この2つを見極めるのは難しいときがあります。 今回はメンタルヘルスの視点から、双極性障害とADHDのよく似た点、違…

一般的な抗うつ剤は、うつではなく不安に効いている

抗うつ剤セルトラリンは、単に「不安」を取り除く、もっと広く使われるべき薬かもしれない。そんな結果が、UCL主導の研究から明らかになりました。

大気汚染が双極性障害を引き起こすかもしれないという調査結果

精神疾患は、個人のもつ要因と環境要因との両方が組み合わさって発症します。 julife.hateblo.jp しかし、環境要因とはなんでしょうか? ストレスや暮らし方、栄養などが議論の俎上に載せられることが多いですが、今回とりあげる大気汚染は、まさに環境の影…

歩き方から認知症を見分けられるという世界初の研究

認知症にはアルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症というように、原因によって複数の種類があります。この種類によって、症状や有効な治療法が異なります。 ニューカッスル大学の研究者らは世界で初めて、アルツハイマー型・レビー小体型の認知症を、歩…

双極性障害患者の家族は脳が大きい?:脳容積と遺伝リスクの関係

精神疾患と脳科学は密接な関係にあります。というのも精神疾患(メンタルヘルス)が一定以上脳の疾患である以上、患者の病態と患者の脳とを比較する作業は、非常に重要だからです。 しかし今回は、患者本人の研究ではありません。双極性障害と統合失調症の人…

GeneLifeの肥満遺伝子検査を試してみた:投薬の体重増加と付き合う

神経疾患の薬は目覚ましい効き目がある一方、副作用があります。 その中でも顕著なのが、体重増加。まったく出ない人もいるようですが、筆者は投薬から半年で15kg増加し、これはなんとかせねばならないと決意しました。 とはいえ投薬をいきなりやめることは…

こころの振れ幅に向き合う:循環気質と双極性障害

筆者も体験することですが、メンタルヘルスには「こころの波」というものがあります。ブログを書いているときは結構気分が上がっていますし、先日のように台風が来れば気分は大きく沈みます。気分には、山も谷もあるものですが、これは果たして病気なのか、…

こころを治しても、環境を治してもよい:素因ストレスモデルで精神疾患を分解する

精神疾患・心の病とははたして、何が原因の病気なのでしょうか。当事者としても、メンタルヘルスの悪化に対してつい「自分のこころの甘えなんだろうか」と考えてしまい、辛くなることがあります。 しかし心の病というからには、気の持ちようのようにも見えま…

精神疾患の「役立つ」側面:進化を経てなお残る、われわれの心の変容

筆者はよく、精神疾患(メンタルヘルスの悪化)について「骨が折れる」と「心が折れる」の対比を使って説明します。骨が折れたら助けやすいが、心が折れても見えにくい……などの文脈ですね。 ところで、骨が折れるのは単に骨の物質的な限界によるものですが、…