エクササイズの継続には、特定の性格が関わっているという研究結果 - 電脳の中の脳──脳科学・メンタルヘルスの最新研究やデバイス

日々の健康を考えると、エクササイズは欠かせません。ですが正直、筆者はなかなかエクササイズが続かない方です（増量しているのに）。周囲で運動を続けている人を見ると、「どういう考え方をすると続くのか」と悩まされます。

さて、実は健康保険料などの兼ね合いから、日本よりもアメリカなどのほうがエクササイズへの意識は高くなっています。したがって、「どうすればエクササイズが続くか」という知識に対する需要も高いわけです。

今回は、「今必須じゃないが、今後のために必要な運動」を継続するのには、どんな心理学的機能（＝性格特性）が必要かを明らかにした、オレゴン大学の研究を紹介します。

オレゴン大学の研究によると、目標を達成するために具体的な計画を立てている人は、あまり計画を立てていない人と比較すると、ジム通いを含む多くのエクササイズを行う可能性が高いことがわかりました。

この研究は、Association for Psychological Scienceの"Psychological Science"という国際誌に掲載されたもので、「計画性(Planfulness)」という性格の傾向が、実世界の行動にきちんと影響することを示しています。

さて、心理学では人の心の傾向を「パーソナリティ」「性格特性」という数値で表します。これらの数値は、例えば「仕事において目標設定を行い、達成するために行動できますか？」といった多くの質問から計測します（主観的評定という）。

人の性格は多種多様ですが、概ね5つの性格特性の数値を組み合わせれば、ほとんどの性格をカバーできるといわれています。「神経症傾向」「誠実性」「開放性」「協調性」「統制性」と呼ばれるこの5つの尺度を、"Big 5"と呼びます。

詳しくは、丹野(2014)の解説をご覧ください。

さて、今回の研究の話に戻ると、重要なのは「統制性」でした。統制性、というと少し耳慣れない響きですが、これは「目標設定ができるか」といった質問から測定される性格の尺度です。

臨床心理学において、統制性が高すぎると強迫症などのリスク要因となることが知られていますが、Ritaら(2019)の研究は、実際の暮らしにおいては、統制性の高さがジム通いなどにプラスに働くことを示しました。

Ritaらの研究では、20週間に渡り282人の参加者に対し性格特性を測り、また彼らがその後ジムに出席したかどうかを調べました。参加者の多くは大学生で、学期を通じて大学のレクリエーションセンターに参加したかどうかを調査しました。

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すべての参加者は、実のところジムへの出席率が低下しました。しかし、その中でも「明確な計画が重要です」と答えた人ほど、ジムへ通い続けた人が多くなりました。

この研究は、人々が（健康に関する）目標に対してどう向き合うかという、「目標に対する意思決定」を実世界で確認したものとして、非常に有益だ……と、著者らは語ります。

こうした指標は臨床の現場にとどまらず、実際の社会においてもきちんと人の行動を予測・理解できる可能性が示されたことは、今後の心理学研究において非常に有用であると考えられるでしょう。

Rita M. Ludwig et al. (2019). Predicting Exercise with a Personality Facet：Planfulness and Goal Achievement, Psychological Science.